企画


テキスト天下一武道会:予選テキスト テーマ[春]
『桜の魔力』

だいぶ春めいてきたので昼過ぎまで寝ていることが多くなったのは冬の時も同じでした。
『春』と聞いて思い浮かぶのは、やはり『春温パック』以外だと、例えば『花見』とかですね。
花見・・一年の時を経て桜咲き乱れる一時に、桜そっちのけで飲み食いするという素敵なイベント。
数々の伝統文化が廃れていく中、これほどまでに馬鹿げた伝統行事が年々繰り返されるビバ日本。
そう、『桜』とはそれ自体が日本の文化なのである。
今回は、その『減価償却』にまつわるエピソードを話したいと思います。

昔から日本では色々な桜にまつわるエピソードが語られてきました。
○在原業平が誰か忘れたけどそいつと駆け落ちした話
○最も美しい桜の木の下には死体が埋められている
○川辺にはエロ本が落ちている
などです。

人は桜を目にした時、その美しさとは裏腹の、一種悲しみに似た不思議な感覚に囚われるものです。桜には、そんな魔力が与えられているのかもしれません。
そしてその物悲しさを抱く桜の季節、それを打ち飛ばす為に、昔から人は桜の下で酒を飲み、騒ぎ立てたのかもしれません。

去年の桜の季節、通りがけに見上げた桜には、相合傘が彫られておりました。
不思議です。むしろ憎しみが込み上げてきました。桜の魔力は無限ですね。
ムシャクシャした私は、気付くと『うりりりりィィ〜!!』と奇声を上げながら桜の枝をメッタンメッタンに折っていました。
そのメッタンメッタンぶりと言ったら、ケチョンケチョンでした。

その後、正直に桜を折ってしまった事を父に話しました。
父は言いました。

『ウチのじゃねぇから別にいいよ』

----『ワシントン〜幼少期の日記〜』より抜粋---





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